べにしじみこむ の蝶ブログ へようこそ

主に広島県で蝶の撮影をしています

090730クロヒカゲモドキ

090730-1

 今日は久しぶりに、木曜日に雨が降らなかった。どこに行こうか悩んだのであるが、近場に、クロヒカゲモドキを求めてきたのである。予想通り、困難を極めた撮影で、露出不足と障害物に悩まされた一日であった。上の写真の如く。





 日本産蝶類の中で、一番美しいのはどれ?
 一番大きいのはどれ?一番飛ぶスピードが速いのはどれ?一番長生きするのはどれ?

 いろいろな質問があげられるが、有る程度蝶に詳しい方であれば、上述のどの質問にも、悩みながらも、答えをあげるだろう。正解かどうかは別にして。

 さて、日本産蝶類のなかで、一番、賢いのはどれ?

 私は迷わず、クロヒカゲモドキをあげる。
もちろん、全ての蝶とつきあったわけではないので、もっと賢いのがいるかもしれないが、私が今までに出会った蝶の中では、別格なのである。

 
 私が初めて本種に出会ったのは、広島県西部の、とある山の頂上付近であった。
林の中の道を、今までみたことがない蝶が飛んでいたのである。

 それまで本種には出会ったことがなかったので、いったいどのような蝶か、どのように飛ぶのか、どんな状況で出会えるのか、知識を持っていなかった。
 今から考えると、おそらく夕方で、本種が縄張りを張っていたのであろうと思う。結構なスピードで飛翔していたのである。

 ぴんときた。これが、図鑑でみたクロヒカゲモドキではないか、と。
これで初ネットが一種類増えるぞ。
喜び勇んで、捕まえようと取り掛かったその時である。
彼は、絶対にネットインされない安全な場所にとまったのである。
 
 逃げたのではない。私をおちょくったのである。

 なんと、彼は、私の構えている竿に留まったのである。
絶対にネットインできない。
その時初めて、彼の翅模様を見た。前翅裏面、大きな目玉模様が三つ。やはりクロヒカゲモドキに違いない。初めて見る蝶だ。
 彼の眼をみた。勝ち誇ったような視線。蝶の眼に知性を感じたのである。
こんちきしょう、絶対に捕ってやる。
 でも、どうやって、捕まえる?

 しばし時間が止まった。
私の頭の中は半分パニック、半分冷静に動いていた。
竿をすばやく、くるっと回転させよう。たぶん、彼はそのとき飛びたつ、もしくは空中になげだされるはずだ。彼が竿から離れた瞬間、大急ぎで竿を引かなければならない。ネットが彼の位置にくるように。そして、空中に投げ出された彼をネットの中に捕らえ、大急ぎでネットを捻って出れないようにしよう。後は、三角缶、展翅板、標本箱へ一直線。
 これで一種類増えるはずだ。

 チョウと、ヒトの智恵比べ。
愚か者めが。竿に留まったら絶対にネットインされないと思ったのであろうが、残念でした。私の超絶テクで、一瞬のうちに捕らえてやる。ヒトをおちょくったことを後悔させてやる。私のネット裁きをご覧じろ。うまくネットインできれば私のプライドは保たれる。そうでなければ?

 結果は、今回は記さない。

 いずれにせよ、この蝶はそれ以来、私にとって、特別な存在となったのである。


 時は流れ、今日に至る。
今日のポイントは、前述の場所とは異なる。
相手も異なる。彼が今まで生きているとは考えられない。

 今日は絶対に、素晴らしい写真を撮ってやる。私の超絶テクをご覧じろ。
 ということで、勇んで出かけたのである。が、結果は、いまいち。
今日もおちょくられた。彼には歯が立たないのである。

 樹液が出ている木を見つければラッキーなんだが、今日行ったポイントは、そのような木はない。3年くらい前まで樹液が出ていた集客力のある木は、今や枯れてしまって、閑散としている。
 こうなれば、薄暗い林の中をひたすら、彷徨うしかないのである。彼を求めて。
 
 時々出会う。足下から飛びたつ。昼間なので、フワフワと飛んでくれる。でも、道無き林の中、藪の中。追っかける。初めの頃は蜘蛛の巣を避けていたが、そのうち、そんなのかまってられなくなる。顔にへばりつく。何かのトゲが刺さって痛い。数メートル先に留まってくれるのだが、そこまで行くのが大変。やっと近くに到着。カメラを構えたその瞬間、また飛びたってしまう。数メートル先に留まる。そこまで行くのが大変。蜘蛛の巣と藪をかきわけ、やっとの思いで到着。カメラを構えたその瞬間、また飛びたってしまう。数メートル先に留まる。そこまで行くのが大変。蜘蛛の巣と藪をかきわけ、やっとの思いで到着。カメラを構えたその瞬間、また飛びたってしまう。
 無限ループが繰り返される。
ふと思ったのである。
こいつ、いつも、カメラを構えた瞬間に飛びたっているのではないか?
カメラを構えた、ということを、認識している。
 やはり知性を感じるのである。
最後の最後にあざ笑うかのように高所に飛んでいってしまうのを見送りながら、その思いは強くなった。
 また負けた。


 下写真、比較的障害物が少なく、どうにか撮れた一枚。
アリさんが気になった。邪魔しないでよ、と祈りながら撮影したのであった。

090730-2





  1. 2009/07/30(木) 21:58:28|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
<<090802クロヒカゲモドキ その2 和解編 | ホーム | 090719ギンイチモンジセセリ>>

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2009/07/31(金) 09:19:01 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集]

Re: 執念


 作文を書くときは、5W1Hを抜かさないように。小学校の時に教わりました。ましてや、報告文では、どこで、というのは欠かせないものです。
 ただ、残念ながら、場所を明記したその結果、第三者がそこへ行き、例えば、絶滅危惧種を採集する、といった行動をとる可能性があるわけで、それを回避するために、あえて地名などを伏せて記すことが常識になっているようです。これがいいのか悪いのか。私にはわかりません。事実を伏せなければいけない、というのは、少なくとも哀しい状況であるとは思います。少なくとも、蝶のある種の保存のために、人間が、同じ種の人間仲間を疑って、自分達の行動を規制している、というのも情けないことだと思います。やむを得ないことかもしれませんが。
  炭酸ガスをまき散らす車で、山を切り開いた高速道路を利用し、蝶の撮影に行く。外国で森林を切り開き、農薬使いまくりで造った(?)作物の入った弁当を食べる。虫除けスプレーをシュッと一拭き。オゾン層大丈夫?とかなんとか考えていると、私の行動そのものが、種の絶滅に関与しているかもしれない。地名を出す云々より遙かに大きなレベルで。
  ヒョウモンモドキを探すのに、湿地を歩きまくり。自分の通った筋がついた湿地、草がなぎ倒され、多分そこにいた微少生物が多数圧死したに違いない、そう思ったことは今まで数知れず。でも、同じことを繰り返しています。私は悪人か?
  大型四駆で乗り付けたレンジャーが、ここで蝶を捕ってはいけません。と言ったその車にカエルがひかれている。どこまで正しくて、どこまで考えるのが良いのか、私自身わかっていません。

  私の感覚的な意見ですが、絶滅する種は、それなりの理由があると思います。環境破壊、生息地の減少が主な原因(人為的な)といわれていますが、最近はその一つとして、採集がやり玉に挙げられています。でもこれは些細なことと、私は思っています。それがトドメになる、という方もいらっしゃいますし、確かにそのような場合もあるとは思いますが、そもそもの初発の根本的な原因には決してなりえないと思っています。本来絶滅するのが数百年後の種が、採集によって、数年後になった、その程度の違いで、地球的規模で見たら、誤差の範囲内かもしれません。自分が生きている間は絶滅して欲しくない、というスパンであれば、採集禁止は有効ですし、当然、産地は明記すべきではない、となります。100年後までいて欲しい、というスパンなら、私たち人類の行動、社会生活を全て見直さなければいけないかも。たぶん犠牲を払うようになるかも。ずっと永久にいてほしい、となると、?

 この近辺はため池が多い土地柄。そして不思議なことになぜか、そこに外来魚を見つけるのは困難ではありません。ブルーギルが多いかな。ちょっとした山中にも外来魚が棲息しています。これはなぜ?人間の仕業。これがいいことか、悪いことか。生態系を壊す、と言う観点から言えば、悪いこと(かな?)。ブルーギルからみれば、棲息範囲が広がったんで、そういう意味ではいいことかな?多様性が失われる、と言う一方、弱肉強食、適者適応、進化で生物は繁栄する、とも言う。考えれば考えるほど、私の頭はパニックに。
 少なくとも、蝶の数、種類数が減って欲しくないのは確か。それは単に、興味の対象だから、かも。モデルが減ると困ってしまう。もっと違う次元で考えなければいけないとも思うのですが。
  1. 2009/08/01(土) 19:58:33 |
  2. URL |
  3. べにしじみこむ #-
  4. [ 編集]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2009/08/01(土) 21:12:31 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集]

クロヒカゲモドキは憧れの蝶なので、迫真のレポートにぐいぐい引き込まれました。と同時に、撮影できるまでに乗り越えなければならない色々な障害に、何やら暗澹たる気分になったような(苦笑)。
知性を持った蝶。こりゃ手強そう。竿に止まるくらいなら、望遠レンズのフードにも乗ってきそうです。
  1. 2009/08/01(土) 21:58:49 |
  2. URL |
  3. 越渓 #OqKZy1rs
  4. [ 編集]

越渓さん、こんばんは

今日(8/2)、またクロヒカゲモドキを求めて行ってきました。ただ、今回は、狙いがテリはりの撮影でしたので、時間帯が前回と違います。迫力ありました。楽しめました。
カメラ、フードにとまるくらいは、彼にとって朝飯前だと思います。次の記事をお楽しみに。
  1. 2009/08/02(日) 20:06:40 |
  2. URL |
  3. べにしじみこむ #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://benisijimi.blog36.fc2.com/tb.php/71-57355be7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

benisijimi(ベにしじみこむ)

Author:benisijimi(ベにしじみこむ)
こんにちは,
べにしじみこむ です。
ゆっくりしていって下さい。

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (524)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード