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主に広島県で蝶の撮影をしています

蝶の空中衝突 その1

20160424-DSC_4115-2


 蝶の空中衝突はあるのでしょうか?
あったとして、それは、意図的な体当たり、でしょうか?
それとも、単なる事故、なのでしょうか?

 今回提示した写真は、2016/4/24 15:49:20.10 〜 15:49:20.90 の間の連写です(フォーカルプレーンシャッター)。
前後の写真の時差は、0.1秒。この一連の写真は、約1秒の間に起こった出来事です。

(写真はクリックで拡大されます。大画面でおもいっきりブラウザーを広げていなければ、もう一回クリックで更に拡大されます。ノイズ、ピント、ブレなどの諸問題も拡大されますが、雰囲気などは分かりやすいです。)




 ゼフィルスの卍巴飛翔に代表される、蝶類の回転飛翔をご覧になった方はおわかり頂けると思いますが、彼らの飛行技術は大変優れており、かなり近接して飛行しているにも関わらず、滅多に空中衝突しないようです。
彼らのセンサー(自分自身の状態、相手の状態の把握)、判断能力(相手の位置情報、速度などから判断して、自分自身は今後どのように飛行すべきか、等の瞬時の判断)、運動能力(飛行能力、瞬時の方向転換)、には驚嘆すべき物があります。

 所詮虫けら、なんですが、人が蝶を素手で捕まえられますか?寝入りばなに現れる、あのにっくき蚊でさえ、私はパチン出来ません。どっちが優れた生き物でしょうか?
ちなみに私は、猫が、飛行中のルリタテハを、素手で(前脚で)キャッチしたのを目撃したことがあります。
私はどちらかというと犬派で、猫に対してはあまりよい印象を持っていなかったのですが、それ以来、猫に尊敬の念を抱くようになりました。
さらに言うと、以前我が家の飼い猫(私は嫌だったんだが、家内が猫が好きなので飼う羽目になった)が、飛行中のスズメバチをやはり素手で捕まえたことがあります。冗談止めてくれよ、と一瞬真っ青になったのは人間のほうです。猫は平気な顔をしていたので、たぶん刺されなかった?のではないかと思っているのですが、あれも衝撃的な猫体験でした。
少なくとも昆虫採集という分野に限って言えば、猫は遥かに人間を凌駕します。

 我々人間が雑踏を歩くとき、向こうから歩いてきた人と衝突することも、そうそうはありません。
ですが、衝突を避けるために自分が右に進路変更しようと思ったら、相手もそちら方向へ変更、まずいと思って、今度は左に変更したら、相手も同じ方向へ、そしてお互い気まずい思いをする、いわゆるお見合い状態、の経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
雑踏で有名な渋谷スクランブル交差点、ライブ映像が動画サイトで見られます。暇にかまけて暫く見ていたことがあります。誰かぶつからないかな、あるいは前述したように相対する二人がお見合いをしてしまう、といった事が無いか、と思って、暫く観察していましたが、幸運なことに、歩行者同士が衝突して倒れる、という事件は発生しませんでした。私が見ていた5分間では。まあ、人間もそれなりに判断、運動能力は発達していますから。しかしあそこは、人が次から次へと湧き出てきますね。不思議なところです。私はあの交差点を突っ切る自信がありません。ぶつからないわけがない、と思うのですが。田舎もんの恐怖心でしょうか。
 衝突を回避するためには、相手の出方次第で、こちらが進路や速度を変更する必要がありますが、なにぶん相手があることなので、難しいところがあります。
こう考えてみると、蝶の回転飛翔が、いかに凄い運動であるか、という事が解ります。
我々ヒトはゼフィルスの卍巴飛翔を見て呆然としますが、その理由は、その美しさに感激するのみならず、その飛行制御の高度さに驚嘆しているからでしょうか。
以下、ゼフィルスの卍巴飛翔を二種ほど。
いずれも、ハイスピードムービーです。スローモーションになっています。
ハヤシミドリシジミ
” 卍巴飛翔は、なぜきらきら輝くのか? ”
ジョウザンミドリシジミ
” 100708 森の宝石を求めて その3 妖精たちの輪舞 編 ”

 蝶の場合は、特に、占有行動中における追飛や回転飛翔では、蝶の空中衝突は起こらないのでしょうか?
いかに蝶の飛行能力が優れているとは言え、あの距離で、あのスピードで接近飛行していれば、(偶発的な、事故的な)衝突もありうるのではないでしょうか?
あるいは、テリはり中であれば、意図的に(攻撃的な)体当たりをすることは、ないのでしょうか?
占有行動中の回転飛翔が闘争であるとすれば、体当たりがあるかもしれないとも思うのですが、いかがでしょうか?

 かねてより、蝶の空中衝突の瞬間を撮影したい、と思っていました。
空中衝突の動画、写真はあまり見受けられないと思います。
私は、攻撃的な衝突(人間のスポーツで言えば、タックル、でしょうか。体当たり)は蝶では基本、ないのではないかと思っていますが(もし、蝶の占有行動中に、体当たりが手段としてありうるのであれば、ゼフィルスのあの長時間に及ぶ卍巴飛翔はあり得ないのでは?そもそもくるくる回る必要が無い。ただ、もしかすると、体当たりする機会を窺っている結果、互いに周りをくるくる回る様になる、という考えも成り立つでしょうか。そもそも、回転飛翔は、どの様に終了するのでしょうか?)、後述のギンイチモンジセセリの動画を見てみると、あり得ないことではないかも、とも思っています。
ですから、その決定的な瞬間を撮影したい、と常々思っています。空中衝突の事例を沢山観察したいと思っています。
意図的(と思われる)空中衝突の事例が沢山集められれば、蝶のテリはりの意味について面白い考察材料になると思います。やっぱり、闘争か?となるかもしれません。
また、空中衝突写真は、正に蝶の究極の、躍動感のある飛翔写真、ではないでしょうか?

 少なくとも私は、衝突している(と思われる)決定的な写真、あるいは動画を殆ど見たことがありません。
 以前、このブログで、ギンイチモンジセセリの衝突の動画(ハイスピードムービー)を供覧したことがあります。
” 110508 草むらのファイター ”
” ギンイチモンジセセリ 求愛、追飛、闘争 など ”
この2編の結論は、
” ギンイチモンジセセリの衝突(体当たり行為)は、必ずしも頻発するわけではないが、かといって、極めて稀、でもなさそうだ ”
という物でした。
勿論、飛行をミスっての偶発的な衝突の可能性もありますが、雰囲気から考えると、意図的に体当たりしたのではないかとも思えます。
そのブログエントリーでは、飛行中のギンイチモンジセセリが葉っぱに衝突してしまう動画も供覧していますので、ご興味のある方は、ご覧下さい。

 

 さて、下の写真は、冒頭の写真の0.1秒後です。
分かり易くするためにトリミングしてあります。
今回供覧させて頂くヒオドシチョウは、ゼフィルスのような明確な回転飛翔は行いませんが、回転飛翔もどき、の絡みをそのテリはり中に観察出来ます。
20160424-4116

 次の二枚の写真から、私はこの二頭が空中衝突したと判断しました。
右の個体が、やや下方から、左の個体に対し、突き上げるような方向で衝突したのではないかと推測しました。
20160424-4117

 下の写真ですが、0.1秒後です。衝突直後の衝撃が現れていると思います。
右側の個体は、衝突の反動で、後方(右側)へ身体が流れています。
左側の個体、こちらの方がダメージが大きいようです。
やはり後方へ身体が飛ばされ、思わず口吻が出ています。左脚も伸びちゃってますね。
回転飛翔中は、脚は胴体に密着させるのが基本だと思います(二頭がお互いに脚を出している事もあります。これについては、後ほど写真を供覧する予定です。)。頭部は画面左側を向いています。通常の飛行中であれば、(頭部がこのように向いていれば)その後、身体も左へ向きそちらへ飛行していく筈ですが、続く写真のように、そうなっていません。つまり、衝突の衝撃で、強烈なパンチを浴びたボクサーの如く、頭がふらついてしまったと推測されます。
二頭とも、それぞれ後方へはね飛ばされていますので、衝突エネルギーがそれなりに大きかったと想像されます。
20160424-4118

 下の写真、
右の個体は、反転しようとしています。頭部の向き、身体のひねり方で解ります。
よく見ると、この個体もこの時点では脚が胴体から離れています。
左個体、脚が身体に密着しているようにも見えますが、脚と身体が重なって写っているのでよく解りません。
20160424-4119

 右の個体、反転して退却しようとしています。
左個体、まだ脚が身体に密着していません。(写真をクリックすると大きくなります。)
20160424-4120

 右の個体はフレームアウトです。
それに比べ、左個体は先ほどとあまり態勢が変わっていません。いまだ、脚が身体に密着していません。
20160424-4121

 右側の個体はとっくに衝突現場から飛び去っていますが、左側の個体は、いまだその近辺に浮遊しています。
こちらの方がショックが大きかったのでしょうか?
20160424-4122

  ようやく態勢が整い、フレームアウトした右個体を、追飛開始、だと思われます(これ以降は二頭を画角に捕らえられなかったので、写真での証明はできません。)。脚が身体に密着しています。
20160424-4123

 二頭のヒオドシが空中衝突しました。
向きなどから考えて、右側の個体が、左側の個体に体当たりを仕掛けた可能性も否定できません。
もちろん、偶発的な衝突かもしれません。
衝突後、二頭とも、その反動で態勢が崩れました。
そして、なぜか、衝突の衝撃から早く立ち直った(ように思える)右個体は、きびすを返して逃走です。
なぜか、より衝撃が大きかった(ように思える)左個体は、ワンテンポ遅れて、追飛を開始したようです。
うーん、よく解らん。
 この一連の写真について、どの様に解釈すべきでしょうか?


2016/4/24 広島県にて撮影 ヒオドシチョウ






  1. 2016/06/16(木) 23:59:01|
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