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主に広島県で蝶の撮影をしています

パピリオの魅力

ONAGA 15-1


 本邦産で最も妖艶な蝶は何か?
これはもう、無条件で、本種ですね。

 
優雅に浮遊して吸蜜する、スリムだけれども肉感的な お嬢様 
この横からのプロファイルが、Papilioの最大の魅力では無いだろうか?


(写真はクリックで拡大されます。大画面でおもいっきりブラウザーを広げていなければ、もう一回クリックで更に拡大されます。ノイズ、ピント、ブレなどの諸問題も拡大されますが、雰囲気などは分かりやすいです。)




 ど迫力で選ぶなら モンキ 
 煌びやかさで選ぶなら ミヤマカラス
 シンプルな美しさで選ぶなら (ナミ)アゲハ
   (アゲハのデザインは秀逸ですね) 
 あでやかさで選ぶなら ナガサキ

 さて、優雅さで選ぶなら?セクシーさで選ぶなら?清楚でなおかつ妖艶なお嬢様は?
ダントツで本種だと思います。(もちろん、メスです)
 
 私がパピリオ、という言葉で思い浮かべる情景は、冒頭の如く。
蝶の美しさの一つの到達点ではないでしょうか?
スリムでなおかつ肉感的 
今にも折れそうな、ほっそりとした御御足、肉感的過ぎる腹部
このアンバランスは究極のセクシーさかもしれない

ONAGA150510-2


 この長い脚、長い口吻は、まさしくツツジの類いから吸蜜する様に特化したかの如く。

長い脚は、虫を思いだす、とか(虫ですけど)
特に前脚のこの曲がり具合は、カマキリのようだ。
オスをたぶらかして食い尽くしてしまいそう、とか
太ももに相当する部分は、もうちょっと豊満なのが好みだ、とか
この細い脚は、なんともいえない。踏んづけて欲しい、とか
人によって感じ方が色々あると思いますが、私はこの脚こそが、パピリオの魅力の一つであると思います。
豊満な胴体を この脚で支えるのは無理からぬ事で、翅が生み出す浮力で身体を支えることとなります。結果、あたかも浮遊しているかの如くな優雅な立ち居振る舞いとなります。

冒頭の写真を見ていただければ納得いただけると思いますが、彼女は、決して花びらに止まっているのではありません。僅かに触れているのみです。その体重を花にかけるのを潔しとせず、あくまでも空中に身を任せ、蜜を召し上がっておられます。
こんなに優雅な生き物が他にいるでしょうか?

 細い足、なめらかな弯曲をもつ翅、
そしてもっとも素晴らしいのは尾状突起だと思われます。
本種の存在が最も具現化した部位です。本邦産の蝶で最も尾状突起が美しい種だと思います。

 クロアゲハと比較されることが多い種です。
いわく、クロアゲハを細くしたような蝶。痩せたクロアゲハ、などと。
なるほど、そのようにも見えます。ただ、その翅の透け具合(透明感)、翅の弯曲の仕方、をみれば、けっして、クロアゲハを縮小コピー(XY軸比率を変えたコピー)したものではない事がわかる筈です。尾状突起に至っては、クロアゲハより発達していますね。
 ジャコウアゲハの擬態であるとも言われています。なるほど、そうかもしれません。しかし、尾状突起だけ見ても、ジャコウとオナガは区別がつきます。より艶めかしいのが、オナガですね。
この尾状突起で存在感を示しているのが本種です。

ONAGA150510-4


なめらかな湾曲を示す優美な尾状突起
透明感のある前翅
すらりと伸びた細い おみ足
そして、移り気な性格(吸蜜部位を次から次へと変えて浮遊します)

これこそパピリオ、ひいては蝶の理想を具現化した姿ではないでしょうか?

ONAGA150510-3


彼女のお名前は、Papilio macilentus
macilentus って、細い、とか、痩せた、とか、ほっそりした、という意味合いの言葉だそうです。
転じて、乏しい、とか、貧弱な、とか、中身がない、豊かでない、といった意味合いともなります。
あまりにも失礼ではないでしょうか?コレはちょっと どうにかして欲しいと思う所です。
蝶の名前には納得できないものが かなりあるのですが(私がどうこう言っても仕方がないけれども)、彼女には非常に不釣り合いな、というよりも非常に残念な名付けであると思います。
和名はオナガアゲハ。命名者は本種の最も特徴的で美しい部位をしっかりと認識されていたようです。ヤセクロアゲハ、とかクロアゲハモドキ(蛾にいます)、とかニセジャコウ、とか命名されずによかったです。そのような次元の命名が蝶に多いのを、常々残念に思っています。
 ついでに申し上げれば、以前より納得できないのですが、この辺に生息するキチョウが、いつの間にかキタキチョウ、になってしまった、ということ。余分な一語が付いたおかげで、これ以上なくシンプルで美しかったお名前が汚されたような気がしています。どうにか出来なかったのでしょうか?この辺につきましては、かつて記事にしていますhttp://benisijimi.blog36.fc2.com/blog-date-201011.html


 私だったら、本種の名前は、Papilio elegans っていう風にすると思います。いかがでしょうか?
 (2000年に、Papilio elegansっていう名前での蝶の登録があるようです。もちろん、本種ではありません。)
ならば、Papilio venusta っていかが?



 時々、質問を受けます。
なぜ、採集から写真に転向したのか?
私自身、よくわかりません。いつの間にか そうなっていたのです。
それでは答えになりませんので、展翅がめんどくさいから、と面倒くさいときには答えています。

 採集のみの人達には、写真の魅力は 解りにくいようです。
一方、採集を経ずに 写真から蝶に入った人達には、採集の魅力や意義は理解出来ないようです。殺すのはかわいそう、残酷だ、数が減っちゃうだろ?の一言で終わらせてしまう傾向があるようです(すみません、三言でした)。

 標本では、脚や触覚の美しさ、腹部の豊満さ、などは基本的には表現できません。眼は死んで、輝きを失っています。当たり前ですが。標本での触角と、写真での触角では全く違うもののようです。飛型の美しさ、陽光の煌めき、等は到底無理です。極論すれば、翅のみの美を追い求めたものが標本であるといえるかもしれません(しかも、室内で人工光で眺める)。もちろん、学術的な意味合いの標本もあります。外国映画で時たま見かける、応接室にかかっている角が立派な鹿の頭部のような意味合いもあると思います(ハンティングの面白さ、そしてそれの記録、誇示)。
 では、写真でなければ、得られないものとは何か?そのようなものがあるのか?
本種で言えば、その優美さを標本で表現出来るのか?そうであれば、相変わらず私はネットを振っていたと思いますが、残念ながら、私には標本でそれを表現する技量がありませんでした。ネットインしたときの快感も、ある程度採集すると、薄れていきました。
 写真の方が、遥かに表現力に優れる、フィールドで感じたものを表現しやすいのではないか、というのが、一つの理由であるのかなとも思っています。それを求めて、今日もシャッターを切っているのだとも思っています。なかなかうまく表現出来ませんけれども。
 冒頭の写真、久しぶりのPapilioでの会心のワンショットです。
色彩はどうでもいいので省きました。
ネットを振っていたらコレはとれませんでした。
揚羽は、被写体としては難しい部類に入ると思います。大きいこと、じっとしていないこと、表情が豊かなこと、人に近いこと(他の蝶に比べて)等の理由から、どうしても撮影のハードルを挙げざるを得ません。

 考えてみると、もう一つ、採集から離れた大きな理由があるのですが、それに関しては、今回は言及しません。

追記; 
 撮影が、採集に勝る点のみを挙げてしまったようなので、追記を。
 採集せずに撮影のみ、の場合の決定的な欠点を挙げるとすれば、
 蝶に触らない、ということ。結果、皮相的な理解になりやすい、と思われます。
 翅の肌触り、翅や触覚の弾力(折れやすいことも)、これらは、ネットインしてみないと理解できないと思います。
 展翅してみないと理解出来ないこと、っていうのもあるようです。
 独特の香りをもつ蝶がいることも、ご存じない方も多いようです。
 さて、オナガアゲハって、どんな薫りがする?



2015/05/10 撮影
OLYMPUS E-M1  / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO + MC14
オナガアゲハ Papilio macilentus JANSON





















  1. 2015/12/23(水) 22:13:19|
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