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主に広島県で蝶の撮影をしています

しなやかに

shinayakani

(写真はクリックで拡大されます。大画面でおもいっきりブラウザーを広げていなければ、もう一回クリックで更に拡大されます。ノイズ、ピント、ブレなどの諸問題も拡大されますが、雰囲気などは分かりやすいです。)





 蝶の写真を撮っていると、時々、あれ?と思うようなことに遭遇する。
それは、ネットを振っていてはわからないことでもある。
シャッターチャンスを求めてファインダーで覗いているので(もちろんノーファインダーのことも多いが)、蝶の動きをよく見ている。
今まで見えていなかった彼らの動き、美しさ、等に気がつくことがある。
もちろん、ネットを持っていても、思わずそれを振るのを忘れてしまう、といったことを、かつて何回か経験したこともあるが、基本的に、ネットを持っている時と、カメラを持っている時とでは、彼らを見ている時間に圧倒的な差があると思う。
 彼らのちょっとした仕草の意味を考えたり、繊細な美しさに感動したり。
もちろん、ネットを振らなければ得られない感動、振らなければ得られない情報、という物ももちろん有り、それはそれで価値のあるものである。

 さて、写真撮影の楽しさの一つに、後からじっくり見直し、その時を想い出す事ができる、というのがある。いわゆる記念写真っていうのは、これのために撮るわけですよね。
シャッターを切った、まさにその時に自分の覚えた感覚、意識(やったね、とか、しまった、とか)、あるいはその時の温度、湿度、光線状態、たくさんの藪蚊に刺されていた、等をまざまざと思い出せるのである。
ただ、これは、採集をしている人でも同じですね。標本箱を前にして、あるいは展翅板を前にして、同じような思い出に浸ることができるだろう。
 ただ、後から見直して得られる感動や情報量は、採集よりも撮影のほうが圧倒的に多いのではないかと私は思っている。
その時には見えていなかった新たな発見をし、再び新たな感動に浸れる。これが撮影のほうが多いと思う。
では、後日、新たな発見をする、これが採集にはないのか?
私の経験では、三角紙に入れた直後は、完ピンだと思って非常に嬉しかったが、展翅するときに、思わぬ欠損を発見し、がっかりした、という経験はある。嬉しくない再発見。知人にこういう再発見があったそうだ。採集直後は何かのゼフと思って三角紙に入れたが、展翅する段になって、それがヒサマツであると発覚した。これは嬉しい再発見。自分の無知と経験不足も再発見した訳だが。

 例えば、実際に蝶の採集をしたことがある方であれば、お分かりいただけると思う。
ネットインし、三角紙に入れ、展翅し、そして、ドイツ箱に入れる。この一連の流れは、結構、気を遣うのである。ドイツ箱の開け閉めさえ、細心の注意を持って行わなければならない。ドイツ箱への急激な空気の流入は作品を汚す恐れがある。空気の流れさえ、意識しないとならない。

なぜか?触覚が折れたらまずい。翅がひっくり返ったらいやだ。鱗粉がはがれないように。
翅が折れたら価値が落ちる。翅脈がおれないように。翅には極力触りたくない。空気の流れさえ、当たって欲しくないのだ。
とにかく、触角と翅に瑕疵がないようにしたい。大切なコレクションである。梅雨に汗だくになってネットインした大切な獲物を、冬に暖房の効いた暖かい部屋で、思い出に浸りながら、ビールを飲みながら眺めたいのである。
それは、翅が曲がっていてはいけない、触角がピンと張っていなければならない。美しくないといけないのである。
とにかく、完璧な標本を創るには、色々と気を遣うのである。

 で、冒頭の写真。
蝶の翅って、結構しなやかなんですね。かつて、息を殺しながら展翅していた自分が、なんか、ばからしくなってきた。ここまで前翅が折れている。露骨に空気のためにしなっている。ドイツ箱の開け閉めさえ、慎重にしていたというのに。このしなりは何なんだ。
私は、蝶の飛び姿を撮るまでは、蝶の翅は、結構固くて、あまり弾力がなく、翅脈なんかは固いストローみたいなモンだと思っていた。ある程度曲げると、もう折れ目がついて癖がついてしまう、と思っていた。
蝶の翅が、ここまでしなやかで、弾力がある(もちろん、生きているか、死んでいるかの違いはあるかもしれない)のを知ったのは、自分の撮影した写真を後から見直した時。時々、こういうのが写っている。もちろん、撮影しているまさにその時は、翅がこういう状況であることは全く認識していない。後から見直して、再発見するわけです。
ネットを振っている時は、知らなかった。見えていなかった。標本箱をみても、これはわからない。

 後から写真を見直して、今まで自分の常識と思っていた事が、実は違う、といった発見が出来る。これは写真やビデオ撮影の醍醐味ですね。
後日、画像、動画を見直し、色々と思考を巡らせて、空想を膨らませて、想像の世界に浸れる、これは楽しいことだと思う。私自身では、採集時代にはなかったこと。
なぜ、ここまで前翅が折れても平気なのか?これはおそらく空気抵抗によるものか?自分の意思で曲げてるのではないよなあ?どういう状況でこうなる?空中で急ブレーキをかけたその直後に、やっぱり急に後方へ移動しようとしたらこうなる?いや、あの時どうだったっけ?うーん、忘れた。次の瞬間にはどうなっている?例えば、0.1秒後の写真は?彼の視線の方向、頭位から考えると、たぶんあっちに行こうとしてる?では、0.1秒前は?
なるほど、前翅でこういう風に空気を捉えながら飛翔するのであるから、前翅が破損した固体は飛行が難しいよなあ。では、どの程度までの前翅の破損であれば、飛行が可能なのだろう?(次の撮影のモデルがこれで一つ浮上してきましたね。前翅が破損した個体の飛翔を狙っています。飛翔が可能かどうか、だけではなく、うまくいけば、生命感溢れる写真が撮れるかもしれない、と思って。)では、後翅の意味は?
などと、延々と思考が巡るのである。彼の翅と同じように折れ曲がりながら。
彼の翅と同じように、しなやかに思考したいんだけれども、堂々巡りですね。いつも。

2013年夏 広島県にて撮影 クロヒカゲモドキ








  1. 2013/10/03(木) 09:23:00|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

最初に見たときアレ?と思って拡大して驚きました。
こんなに翅を曲げるのですね。
こんな写真初めて見ました。
他の種でもこんなに曲げるのでしょうか?
  1. 2013/10/03(木) 16:15:19 |
  2. URL |
  3. otentoumaru #MS6MO/rs
  4. [ 編集]

おてんとうさん、こんばんは。

 おてんとうさん、コメント有難うございます。
飛翔中の蝶を撮影すると、時々、翅が思いもよらず、かなりたわんでいるのを見ることがあります。ただし、ピントが合っていないことが多いですけど。
もちろん、他種でも、結構翅が曲がっていることがあると思います。
それと、右と左の翅の動き(たわみ)が明らかに違う写真、これも面白いです。たまーにしか撮れませんけど。
  1. 2013/10/03(木) 18:20:33 |
  2. URL |
  3. べにしじみこむ #-
  4. [ 編集]

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