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主に広島県で蝶の撮影をしています

ゴイシツバメシジミ交尾 (その2 枝先の舞踏)

GOTSUKOBI-5


 ゴイシツバメシジミ、彼らは交尾確立直後、枝先で舞踏していた。
くるくる回っていた。
なぜ、くるくる回っていたのか?
喜びの舞踏なのであろうか?

彼らの交尾舞踏と共に、私の思考もぐるぐると回転していった。
ゴイシツバメシジミ、その交尾舞踏を考えることにより、様々な疑問点が浮かんできた。





 まずは、彼らのダンスをスローモーションにして分析してみた。

 動画を見ていただくとお分かりいただけると思うが、このカップルの舞踏は、まず、メスの動きが先で、ワンテンポ遅れてオスが動くことが多いようだ。



 オスの動きは、一貫している。
すなわち、メスと尾端で結合した状態で、頭部を真反対に向けるように、雌雄の身体の長軸がほぼ一直線、180度の位置関係になるように、動いているようだ。つまり、この位置関係が、オスにとって、最も安定する位置であろうと推測される。結合している部位に無理な力(結合を解除するかもしれない力)がかからないように、安定する位置を求めると、結果的にこの位置になるのであろうか。
まず、メスが動き、その変化に応ずるようにオスが、安定する位置を求めて動いていく、これがゴイシツバメシジミの交尾舞踏のルールであろうと思われる。
もちろん、完全に180度になる必要は無く、遊びがある。
下の写真、この角度で安定していたようだ。しばしじっとしていた。これは180°とは言いがたいが、遊びの範囲内であろうか。
TAII-1

もう一つの安定する体位としては、葉っぱや枝などを二頭の間に介して、雌雄が腹側をお互いに向け、同じ方向を向く体位、もあるようだ(下写真)。

TAII-2
 この体位もオスにとっては安定するようで、彼は勝ち誇ったかのように翅をすりすりする余裕があった(動画参照)。

 他種であるが、参考として提示する。
uraginnkoubi-1

 一般的に蝶の交尾態勢としては、上の写真の雌雄の位置関係を思い浮かべる。この位置関係、雌雄が尾端を結合させ、正反対を向き、身体の長軸がほぼ一直線、180度(背側、もしくは腹側から見たとき)となる状態、すなわち二頭の身体がほぼ一つの平面に存在する時、これが一番安定する位置関係であろうか。

 この体位を基本として、もちろんバリエーションが多少ある。
下、オスはぶら下がったまま。この位置で、双方ともじっとしていた。安定した位置関係と思われる。長軸のなす角度は、側面から見ると160度であるが、背側(もしくは腹側)からみると、ほぼ180度だと思われる。
taii-8


下の写真、二頭の身体は同一平面内にあるが、長軸のなす角度が小さくなっている。ここまで来ると、腹面をお互いに向けて、同じ方向を向いている、といった方が分かり易い。
側面から見ると50度程度。身体はほぼ同じ平面に位置していると思われる。
taii-9

 ゴイシツバメシジミの枝先での舞踏は、
オスが、下のFig1の位置関係を求めて、メスの動きに対応していたから、といえるのではなかろうか?
それが、あたかも喜びの舞踏を踊っているかの如くに、第三者には見えたのである。
GOISHI-FIG-1
私たちが目撃する蝶の交尾態勢のほとんどは、このFig1のパターンのように思われる。
では、下、Fig2はありうるのか?交尾直後は、状況によりこうなっていると思う。種によっては、オスが、メスの横から尾端を差しだし、交尾を迫る時はこの位置にいる事があると思う。おそらく、この位置で交尾が確立した後、Fig1の位置関係になっていくのであろうか?
GOISHI-FIG-2

 横から見たとき(Fig3、下図)。あくまでも模式図なのでこのようにいつもまっすぐではない。結合した尾端が頭部よりも持ち上がっていることも多いと思う。いずれにせよ、雌雄が正反対を向いている、これが蝶の交尾の基本であろうと思う。解剖学的に、無理のない姿勢、力学的に身体の構造物に無理な負荷がかからない位置なのではないだろうか。
そして、そこからバリエーションが派生する。
GOISHI-FIG-3

Fig4.
雌雄の着地面が、同一の平面である場合はFig3が基本であるが、雌雄の着地面が同一平面ではない場合は、図の緑方向への回転が可能であるようだ。ただし、同一平面上での回転である。時計板の上で動く二本の針の如く。
お互いの腹側を近づける方向への回転である。
GOISHI-FIG-4.png

 Fig5,これがもう一つのよく見られる体位。今回のゴイシツバメシジミでも目撃できた。
二頭の間に何らかの物が存在するときはこの体位がしばしば選ばれるようだ。上のナミヒカゲチョウはこれですね。
尾端でつながって、雌雄が正反対を向く(Fig1)、のが基本であるが、尾端を回転軸にして、お互いの腹側方向へは、回転できるようだ。その終着地点がこの位置。
GOISHI-FIG-5

 さて、問題は、Fig6。この位置関係があり得るか否か?
結合した尾端を回転中心として、お互いの背面を近づける方向への回転である。
私は今までこれを見たことはない。
この体位は、蝶にとって、アクロバチックな体位ではないだろうか?形態学的に無理なのではないかと考えている。が、写真撮りたい。どの角度まで可能なのであろうか?
GOISHI-FIG-6

 さて、このFig6の体位になるように、もしメスが動いたら、どうなるか?急激にこのような体勢をとろうと思ったら、飛び立てば良い。そして、これが無理な体勢であるならば、おそらく尾端でつながっているオスは着地面から離れてしまうだろう。
そして、もし、メスがこの無理な体勢をとろうとしたとすると、その意味はいかなるものであろうか?

 今回ゴイシツバメシジミの交尾を観察して、メスが、上述した無理な体勢をとろうと、飛びはねたことがある。
冒頭の写真、そして下の写真は、共に動画からの切り出しであるが、メスは身体を空中に投げ出している。

GOTSUKOBI-6

 こういうことをすれば、上述の理由から、オスは態勢が不安定になり、着地面から離れ、もしかすると落下、するかもしれない。事実、以前掲載した交尾飛翔(http://benisijimi.blog36.fc2.com/blog-entry-274.html)は、メスの飛びはね(暴れ、じたばたといえるかも)がそもそもの契機となっている。これは危ない行為ではないだろうか?
では、なぜメスはじっとしておらずに動くのか?

仮説1 喜悦のあまり、身体が勝手に動く
仮説2 確認行為
仮説3 メスは、交尾を解除したい

 以下、それぞれについて、考察する。
仮説1 喜悦のあまり、身体が勝手に動く であるが、これに関しては何ともいえない。チョウのメスが交尾中にどのような感覚を覚えるのかは、現時点では、おそらく不明なのではないだろうか?この件に関しての研究を行っている方がいらっしゃれば、非常に興味深いことである。悦びのあまり、じっとできないのか、それとも、あまりにも気持ちがよすぎて、飛び跳ねてしまう、のかもしれない。

仮説2 確認行為 について。
メスは動き回ることによって、尾端の結合がしっかりしていることを確認。自分の尾端に結合している輩が、自分にふさわしい相手であるかを暴れることによって確認している、という考えである。
蝶のオスが近縁種のメスに尾端を差し出す行為はしばしば報告されている。交尾に至った報告例を私は知らないが、万が一、結合した(しかけた)として、他種であれば、構造上、結合が強固では無いと想像される。そこで、メスは暴れてみて、分離するか否か、確かめている、という訳である。この仮説がありうるとすれば、いわゆる”交尾飛翔”の生態的な意義が見えてくる。暴れることで空中に放り出されてしまったら、ある程度は飛翔しないといけないですよね。飛ぼうと思って飛んだわけではないにしても、交尾中における連結飛行できる能力、が交尾の過程において必要となるのではないだろうか。特に、ゴイシツバメシジミのような樹上性の種においては。
そして、なぜ、確認するために暴れていたメスが、いったん飛翔が始まったならば、じっとぶら下がっていたのか?
これは、後述するが、いったん飛び出したならば、順調に飛翔するためには、雌雄の協調性、が必要だからではないだろうか?

仮説3 メスは、交尾を解除したい
そもそも交尾自体が、メスにとって望ましいのか否か?
メスは、出来れば結合を解除したいのではないか?という疑問である。
 チョウの交尾を時々見かけるが、メスがどうも、嫌がっているのではないか?と思われるような仕草をすることがある。例えば、メスが脚をオスの腹部にあてて、撥ねのけようとしているのではないかと思われる場面に遭遇することがある。(これについては、後ほど、新たな記事として記載する予定である。)
ツマグロヒョウモンでの例が下の写真である。こういうのは動画のほうが分かり易いと思われるので、いずれ別項で記載する予定である。メスの脚にご注目下さい。もちろん、気持ちよくて脚をばたつかせている、という解釈も可能かもしれませんが.....。

120505TUMAGURO

 交尾はメスにとって、望ましい状況では無いのか?
ほんとうに、交尾器の結合を解除しようとして動いているのであろうか?
種の継続を考えた場合は、もちろん交尾は必要な行為であろう。ただ、一個体、の生存のみを考えた場合、交尾中は非常に危ない時間といえる。であれば、メスが交尾をいやがる、ということはありうるかもしれない。
もちろん、そのメス個体が、既交尾かどうか、成熟しているか否か、相手が好みかどうか、など様々な要素が絡んでくると思われるので、一概には言えないと思うが.....。


 さて、既に述べているが、
オスは、交尾中のある時期、翅をすりすりする余裕があった。
 さて、何故、翅をすりすりするのか?
特にシジミの仲間が、単独で静止している時に、後翅を交互に動かし、スリスリしているのを観察するのは稀ではない。
 とくに尾状突起がある種であれば、尾部を頭部と見せかけるための動作である、という説がある。天敵の襲撃によるダメージを和らげようという生存戦略である。後翅後端に攻撃痕を持つ個体がしばしば見受けられることが、その説を後押ししている。(尤も、直接頭部に攻撃を受けた場合は生存が難しいので、それらの個体は人の眼につかないから、相対的に後翅にビークマークがある個体のみが目立つ、とも言える。)
では、ゴイシツバメシジミでは如何に?彼らには尾状突起はない。目玉に似せた紋様も後翅後端には認められない(と思う)。ということで、天敵へのごまかし説、は考えにくい。それに、交尾しているときにすりすりして、後ろを狙ってね、と言おう物なら、尾端にくっついている彼女に愛想尽かされるのではないか?今スリスリすると、天敵はメスの尾端も食っちゃうぞ!それはちょっとね。そもそも、小さなシジミチョウで、頭部も後翅後端も、天敵から見たら誤差の範囲内ではないかとも思うのである。
 もう一つの説として、翅をこすることにより、発香鱗を刺激し、フェロモンを出す、というもの。
ゴイシツバメシジミに発香鱗があるかどうかは私は知らないが、これはありうる、と思う。
ただ、少なくとも、♀を呼ぶためではなさそう。今現在交尾しているし。もう一頭、メスがよってきても、物理的に交尾不可能。じたばたしているメスを落ち着かせようとして、スリスリにより発香鱗を刺激して、フェロモンの分泌でメスを落ち着かせようとした、という可能性がありうるか?ただ、その後もメスはかなりじたばたしたので、この説も説得力はない。
ただ単に、スリスリしただけ。理由なんかない。願いが成就した勝ちどきの行為である、とも考えられる。
もちろん、一つの行為が必ずしも、たった一つの目的に一対一の対応をするわけではない。単独で静止している時のスリスリは、フェロモンの分泌促進、交尾中のそれは、勝ちどきの雄叫び、かもしれない。
こういうことを空想してみるのも面白い。
本当のところは、どうなんでしょうか?
 
 さて、話変わって、交尾中に自発的な飛翔がありうるか?
という話である。
前回のその1でも、言及したように、交尾個体の観察では、交尾飛翔形式、云々、という記述がしばしば出される。
私が推測するに、そのほとんどは、自発的な飛翔ではないのではなかろうか?観察者の刺激によって、やむなく、飛んだ、もしくは翅をばたばたさせて、多少は移動できた、といったレベルではないかと推測している。 
今回、ゴイシツバメシジミで観察できた交尾飛翔(http://youtu.be/4WRfb93ihKU)は、自発的な飛翔であるか否か?
私の感覚からすると、これは自発的とは言えないと思う。
まず空中に飛び出したのはメスである。ところが、動画で撮影できた部分、交尾連結飛翔の初期部分であるが、この間は、オスが飛翔のコントロールを行っている。メスは、オスの尾端にぶら下がっているだけであった。それもあって、ただたんにメスは暴れただけ、と私は推測しているのであるが。
果たして、メスは飛翔の意思があって飛びだしたのであろうか?
飛翔の意思があったのであれば、なぜ当初はオスが飛翔をコントロールしたのか?
その後、メスに交替飛翔したのか?ここが問題である。交尾飛翔の最初から終わりまでを撮影出来なかったことが悔やまれる(実際問題として、それにはかなりの技術と運が要求されると思う。)。もし、途中で飛翔のコントロールの実権がオスからメスに交替していたとしたら、メスに飛翔して移動しようとした意思があった、といえるかもしれない。
では、何のために飛ぼうとしたのか?
 ちなみに、本篇にて写真を提示している、ウラギンシジミ、クロヒカゲ、ヒカゲチョウ、ツマグロヒョウモンは、いずれも、連結飛翔は可能であったが、基本的に、飛びたくない、ようであった。私の刺激によって、ようやく重い腰をあげる、といった程度の交尾飛翔であった。この4種の中では、ウラギンシジミが一番、交尾中の飛翔が軽やかであり(ただし、本来の単独時の飛翔とは次元が違う)、後の三種は、どちらかというと、どうにか飛翔移動できる、もしくは、低いところに落ちていく、というレベルであった。飛翔という言葉は適切ではないかもしれない、と思わせる程度のものである。
 連結飛翔が可能か、どの程度出来るのか。
それに影響を及ぼす因子として、なにが考えられるであろうか?
まず思い浮かべるのは、個体の飛翔能力、そして、それを打ち消す方向に働く、相方の重さ、であろう。
身体の小さなチョウであれば、仮に片方が尾端にぶら下がった状態であっても、もう片方の力で飛翔できる。ある程度の重さのチョウであれば、それは難しくなってくるのではないかと思う。ぶら下がっている相方の重さと、けなげに飛ぼうと努力している他方の飛翔力とのバランスで、どの程度の連結飛行能力があるかが決まってくるのではないだろうか。連結飛翔の能力としてもう一つ大切なのは、雌雄の協調性だと思う。実は以前より不思議に思っていることである。重ね重ね述べるが、蝶の生態図鑑などには、交尾飛翔形式、うんぬん、という記載を見かける。ということは、連結飛翔するときに、どちらが飛翔するか、どちらがぶら下がっているか、がほぼ決まっていると言うことである。これは不思議なことであると常々思っていた。外来からの刺激でただ単にびっくりして飛びたったのであれば、双方がばたばたと翅を動かすのではないだろうか?今回の動画をみても、不思議に思ったのである。先ず飛び出したメスが、なぜぶら下がったままなのか?なぜ、双方が翅を動かさないのか?双方が翅を動かすと、たぶんうまく飛べないから。どちらかがじっとしていることが、連結飛翔の能力には大切なことと思われる。それが、種によって決まっているとしたら。なぜ?という疑問が出るのみである。雌雄の役割が決まっているのであるならば、何らかの生態的な意味があるのではないかと思うのである。あれほど、じたばたしていたメスが、おとなしくオスの尾端にぶら下がっているのを見て、不思議に思うのである。


まとめ
 この度、ゴイシツバメシジミの交尾を観察する機会を得た。
このカップルは、交尾確立直後からしばらく、交尾が確立した枝先で、くるくる回っていた。そして、偶然、交尾飛翔も撮影できた。それは、メスが暴れることが起因となった。連結飛行は、オスの力でのみ行われていた(撮影が出来た部分では)。
 メスがなぜ動き回ったのか?なぜ、先ず空中に飛び出したメスが飛行のコントロールを行わなかったのか?
空想を交えて、楽しい思考のダンスを舞った。私が、パソコンの前で。そして、あなたがそれを読んだ。
ここまで読んでいただき、感謝いたします。
彼らの行動について面白い解釈があれば、是非ご教示下さい。そして、本当の所はどうなのか、お教えいただければ、とても嬉しく思います。









  1. 2013/09/16(月) 09:11:49|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

本人に

本人に聞いてみたいですね。聞かなきゃわからない!

私も空想を交えて舞いましたよ。

楽しい世界でした。
  1. 2013/09/18(水) 18:10:13 |
  2. URL |
  3. mag #8iCOsRG2
  4. [ 編集]

magさん、こんばんは

 magさん、コメント有難うございます。
人間は勝手に空想するだけで、実際のところは何なのかは、わかりません。本人に聞かなきゃわからない。
ただ、何らかの理由があるわけで、それが知りたいと思っています。神のみぞ知る、の領域かもしれませんが。
  1. 2013/09/19(木) 19:57:03 |
  2. URL |
  3. べにしじみこむ #-
  4. [ 編集]

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