べにしじみこむ の蝶ブログ へようこそ

主に広島県で蝶の撮影をしています

アサギマダラ 2012.7

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 あれは、もう二十年以上前になるだろうか?
雄大さ、大自然のスケールの大きさ、自分自身のちっぽけさ、
たった一頭の、小さな蝶で、それを感じた。

(写真はクリックで拡大されます。大画面でおもいっきりブラウザーを広げていなければ、もう一回クリックで更に拡大されます。ノイズ、ピント、ブレなどの諸問題も拡大されますが、雰囲気などは分かりやすいです。)





 初めて出会った時の想い出、初めてネットインした時の感動、初めてシャッターを切った時のあの一瞬、
いろんな種で、いろんな出会いが記憶として残っている。

 ドイツ箱に並んでいるきらびやかな ”物” よりも、ネットインした時のあの時の手応え。
ブログに掲載している素晴らしい ”写真” よりも、あの時感じた空気感。

 なぜ蝶を追うのか?
標本や写真を増やすことよりも、その瞬間の感動を脳裏に焼き付けるためではないだろうか?
蝶を追っている人にとって、それは大切な財産ではないだろうか?

 標本や写真は時と共に色褪せていく。どんなに厳密に管理しても、いずれ色褪せていく。
もっといい物が、もっと珍しい物が、もっといい写真が撮れるはずだから。
どこかで誰かが、もっと珍しい蝶を、もっと綺麗な写真を撮っているはずだから。

 でも、記憶は時と共にますます鮮やかに蘇ってくる。
あの時、あの場所で感じたネットインの瞬間の手応え、シャッターを切った瞬間の指先の震え、
これは形としては残されていないが、記憶として脳裏に鮮やかに刻印されている。
それを増やすために蝶を追っているのではないだろうか?


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 何を目的に、何をするために、その峠にいたのか、今となっては記憶にない。
そこにいた、ということは、たぶん、ゼフィルスの採卵目的だったのではないかと思う。
 県境の景色の良い峠であった。遙か彼方に日本海が見える。
そこに佇んでいると、海や、山や、その他諸々が、自分よりも低く存在するように錯覚をおこす。
すべてを見下ろすようになるからである。自分が最も大きく、最も高い位置にあると錯覚を起こす。 

 その時、はるか下の谷底から、下界から、あるものが、ゆっくりと浮上しつつあるのに気がついた。
最初、それは紙切れが、上昇気流にのっているのであろうと思われた。

 まったく、微動だにしない紙切れ、ただ単に、風にのって、浮上しつつある。
それがだんだん私の方へ向かってきた。上昇してきた。
次第に速度が上がってきた。
 私の眼前を通過する瞬間、それが蝶であるとやっと気がついた。

アサギマダラ
 
 それが私を見下ろす位置まで上昇したとき、僅かに羽ばたいた。
それを合図に、はっと、私は我に返った。

 それは、一瞬の出来事で、一瞬の夢のような体験であった。
その紙切れを前に、私は微動だに出来なかったのである。
その蝶の僅かな羽ばたきがなかったら、私はしばらくその場に縛り付けられていたかもしれない。

 あれは、もう二十年以上前になるだろうか?
雄大さ、大自然のスケールの大きさ、自分自身のちっぽけさ、
たった一頭の、小さな蝶で、それを感じたのであった。


asagimadara1207-3

2012年7月 広島県にて撮影 アサギマダラ












  1. 2012/07/28(土) 23:45:45|
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