べにしじみこむ の蝶ブログ へようこそ

主に広島県で蝶の撮影をしています

100725 宿命の対決

100725-1


薄暗さ、蒸し暑さ、めがねの曇り、ピントの甘さ、ぶれ、ノイズ、ぼんやり、曖昧、朦朧、などなど。


心地よさ、明晰さ、透明感、きれ、シャープさ、質感、解像度、クリアー、などとは無縁な世界がここにある。

(すべての写真はクリックで拡大できます。拡大すると、写真のぼろが出やすく、曖昧、朦朧が味わえます。)




 私と彼は、ライバルである。
私はそう思っている。彼がどう思っているかは知らない。

 再び来たのである。昨年 彼と死闘を演じ、そして和解に至ったこの場所に。(http://benisijimi.blog36.fc2.com/blog-entry-72.html)
彼との決闘場所としては理想的な場所だ。ここは、私しか知らない。ここで人と出会ったことは未だかつてない。一応、道もあるにはあるが、昨年より荒れてきている。たぶんここ最近、車はもちろんヒトは殆ど通っていないと思われる。藪や木の枝が道に覆い被さっているところもあり、ここまでくる間、愛車はかなり傷ついたようだ。車体の傷は四駆の勲章。先日の大雨で道や崖が崩れていたところもある。どうしようか一瞬躊躇した後、つっこんだところもある。とりあえず車で可能なぎりぎりまで愛車に頼み、後は徒歩でやってきた。
 例え彼と差し違え、倒れたとしても、その亡骸の発見はかなり遅れるであろう。
彼が私を傷つけることはないとは思うが、興奮した私がかってに転けて、頭を打って動けなくなる、ということはあり得る。足場が悪いのだ。崖から落ちる危険もある。昨夜は充分睡眠をとり、今日に備えたつもりだが。
一応、傷テープと虫さされの薬は持参している。

 私は今日、特別な使命を帯びてこの場に立った。
与えられたミッションは、三つ。
迫力ある彼を撮る
彼の飛翔をとる(もちろん、ハイスピードムービーで)
彼の味を確認する。
 具体的には、私の舌に彼をとまらせ、桃の味がするかどうか調べてみる。彼の芳香がどこから来るのか、まず味で確認してみようという魂胆である。これは純粋に科学的な好奇心からである。彼に対する対抗心からではない。私のあっかんべしたベロにひれ伏す彼を撮影して、優越感に浸ろうと思っている訳ではない。
でも、あっかんべしている私と彼のツーショット。誰がみても、私の優位を確信するであろう。

 彼との決闘開始の時刻は、6時を予定していた。私はいつものごとく、10分前に到着した。
5時59分、林縁に潜んでいた私の背後から前方向へ向けて、突然黒い稲妻が飛び去った。
昨年来の約束通り 彼の登場である。
6時ちょうどに、シャッターの火蓋が切って落とされた。

 のっけから、わざわざ傾いた葉っぱにとまるところなど、気取っているとしか言いようがない。
あきらかに私を、写真写りを意識している。

100725-2

 考慮すべきは露光不足のみ。
光の角度だとか、光線の状態であるとか、ポーズであるとか、考えている余裕はないも同然。
かろうじてどうにかシャッターをきっていく。

100725-3

100725-4

100725-5

100725-6


 ハイスピードムービーで彼の飛翔を撮影しようと、EX-F1を振り回した。
結論から言うと、全く、ほとんど、と言っていいほど、満足のいく撮影はできなかった。
まず第一に、夕刻の彼らの飛翔のスピードは、とにかく速いのである。昼間のちんたらした飛翔とは、次元が違うのである。カメラを向けた時には、もうそこには彼はいなくなっているのだ。
そして、これが最大の問題なのであるが、いかんせん、光量が足りない。暗いのである。彼も暗い色合いなのである。暗いところを迅速に飛翔する黒っぽい蝶。さて、どうしたことか。
これは来年に持ち越しの課題となった。
とりあえず撮った動画。
EX-F1でのハイスピードムービー、300fps。
肉眼では、黒っぽいものが飛んでいる、くらいにしか見えないが、さすがにこのスピードだと(300fps)、かろうじて種の判別がつく。




 ここでは、ベロを出して佇んでいたとしても、誰にも目撃されることはない。
だから出来るのである。さすがに私でも、他人の目があるところで、蝶に向けて長時間舌を出しっぱなし、は恥ずかしいと思う。他の誰かにその姿を目撃されるのはゴメンである。
 この作戦には、実は重大な落とし穴があった。
もし彼が、私の舌にとまる前に獣糞にとまっていたとしたら、どうだろうか?これは大問題だ。
そして、うまく彼が私の舌の上、もしくはその近辺に静止したとしても、ピントをあわせて撮影できるかどうか?興奮してベロが動くのではないかと心配するのである。
さらには、彼がもし口吻を伸ばしでもしたら、これは接吻ということになるのではないだろうか?私にその気がないにしても、十分に誤解を受ける可能性がある。オスだから浮気じゃないだろ、とかいってる場合ではなくなるかもしれない。更には これによって 未知の病原体が私に感染し、それが新型インフルエンザのごとく、瞬く間に全世界に波及したら、これは大問題である。蝶とその愛好家との微笑ましいワンショット写真ではなく、人類を恐怖におののかせる恐るべき写真になる可能性がある。豚とヒトであれば系統的に近いから病原体の感染はあり得るかも、でも、蝶とヒトでは、たぶんその可能性はないのでは?などと、つまらないことを考えながら、それでもしばらく舌を伸ばしていた私であった。私の周りを飛翔する彼に向けて。
 幸いなことに、彼は私のあっかんべ作戦の挑発には乗らなかった。
その前に、私はベロが疲れて、この作戦から撤退したのであった。結構疲れるのである。先が乾くし。
人類の滅亡の原因が少なくとも一つなくなった。喜ばしいことだ。
この作戦も再検討の上、来年に持ち越しとなった。悩ましい宿題がどんどん増えていく。
頭や肩には乗ってくれるのだが、なかなか顔には乗ってくれない。昨年の個体より思慮深いのであった。

 左手にとまってくれたところを撮影。
ぶれてしまうような光の状況である。オートで撮ったら実際よりかなり明るく写っている。
彼は、なかなか左手にとまってくれなかった。なぜか、カメラを持っている右手、しかもカメラにしばしばとまったのである。そんな時に限って、いろんなポーズを決めてくれるのである。
カメラにとまった彼を どうやってカメラで撮ったらいいのか。頭が痛い。

100725-7

 私の肩でテリトリーをはる。
暗さが分かるだろうか。
あせってシャッターを切っているので、水平がとれていない。
当然、ピントや露出などは朦朧とした世界である。
そこまで考えていられない状況である。

 私と彼のツーショット。
あせった表情の私と、勝ち誇ったように翅をひろげる彼。誰がみても、彼の優位を確信するであろう。

100725-8

 また 負けた。

 2010/7/25  広島県にて撮影 クロヒカゲモドキ













  1. 2010/07/25(日) 23:59:59|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
<<100729 クロヒカゲモドキ 追飛 卍巴飛翔 など | ホーム | 100718 森の宝石を求めて その4 蝶と光のコラボ 編>>

コメント

夢のような日没前ですね。

蒸し暑くても、蚊がまとわりついてもbenisijimiさんのとっておきの楽園ですね。
憧れの目玉を堪能させていただき有り難うございました。

<未知の病原菌・・・
私も全く同じことを妄想していつもおびえておりました。
そんな神経質な自分をアホか?と思っておりました。
アホじゃなかったんだ!嬉しくなりました。感謝!

スミマセン。私のパソコンでは動画は厳しいですので明日拝見いたします。楽しみです。
  1. 2010/07/27(火) 00:59:34 |
  2. URL |
  3. urakuro #TyPG2Z2U
  4. [ 編集]

物語

楽しいお話を堪能いたしました。
人類滅亡の危機とはならず、ほっといたしました。
今年もライバルは健在でしたね。
いつまでも負け続ける幸せがあるのかもしれません・・・そう思いました。

  1. 2010/07/27(火) 15:59:24 |
  2. URL |
  3. mag #RaJW5m0Q
  4. [ 編集]

クロヒカゲモドキ・・・

ただならぬ想いのある蝶なのですね (^^)
こちらでは見かけない蝶なので、生態なども全く知らずに動画を拝見しましたが、これはちょっとビックリしました。クロヒカゲと同じような蝶を想像していたのですが、もっと堂々としていると言うか、威圧感があると言うか・・・何も聞かされないままこの動画を見ていたら、コウモリと思ってしまったかも・・・。
  1. 2010/07/27(火) 22:35:30 |
  2. URL |
  3. ぐみ #/0w90kGg
  4. [ 編集]

urakuroさん、こんにちは。

urakuroさん、コメント有り難うございます。
たしかに、楽園、ともいえるかもしれません。周りに人の気配や車の雑音を感じずに蝶と一対一で向き合えるのは幸せです。日常とは違った空間、時間が過ごせます。
 いつどこで新たな病原体が猛威をふるいだすか。サーズ、エイズ、インフル、いろんなのが次々とでてきてます。今のところ蝶が関わっているのがいませんので、とりあえずは大丈夫でしょうか?
  1. 2010/07/27(火) 23:47:11 |
  2. URL |
  3. べにしじみこむ #-
  4. [ 編集]

magさん、こんにちは。

magさん、コメント有難うございます。
今年もがんばってきました。相変わらずでしたけど。
来年こそ、勝利をめざして、もっとがんばります。
敵も手強いですけど。
負け続けるのも、たしかに楽しい?ライバルは強いほど、自分も成長できます。かな?
  1. 2010/07/27(火) 23:50:42 |
  2. URL |
  3. べにしじみこむ #-
  4. [ 編集]

ぐみさん、こんにちは。

クロヒカゲモドキは、クロヒカゲとは、似て非なる物です。かわいそうな名付けをされています。
どの蝶もそうだと思いますが、テリトリーを張っている時は、やはり迫力が違います。クロヒカゲも迫力があるとは思いますが、大きさが一回り違いますので、おっしゃる通り、威圧感が違うと思います。300fpsのスーパースローモーションでこの早さですから、肉眼では種の判別は無理で、すばらしい飛翔技術だと思います。コウモリに負けていない?
  1. 2010/07/28(水) 00:03:47 |
  2. URL |
  3. べにしじみこむ #-
  4. [ 編集]

クロヒカゲモドキ

オソコメで失礼します

ジックリ拝見しました
おもしろい短編小説を読むようでした

自分ひとりのフィールドで思いいれのあるチョウと好き勝手に遊ぶ

少年に戻る

私もミドリシジミと対面する時は(一方的な)会話しながら撮ってます
  1. 2010/08/07(土) 16:22:52 |
  2. URL |
  3. otentoumaru #-
  4. [ 編集]

otentoumaruさん、こんにちは。

otentoumaruさん、コメント有り難うございます。

少年に戻る

確かにそうかもしれません。
いい年して、虫を追っかけるのはそうですよね。
独り言 言いながらチョウと対面する時って結構ありますよね。端から見たら、おかしなおじさんかも。
 おっと、間違えました。私まだ十代でした。
チョウの前では。
  1. 2010/08/08(日) 16:15:22 |
  2. URL |
  3. べにしじみこむ #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://benisijimi.blog36.fc2.com/tb.php/103-d681234c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

benisijimi(ベにしじみこむ)

Author:benisijimi(ベにしじみこむ)
こんにちは,
べにしじみこむ です。
ゆっくりしていって下さい。

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (539)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード